市場情報と需給見通し
FASは各国の海外拠点や統計データを通じて、農産物の生産、消費、貿易、在庫、市場制度を調査しています。国別のGAIN報告書は、現地の作況、政策、流通、輸出入を扱い、コーヒー分野でも主要生産国の年次報告が公開されています。たとえばエルサルバドルのCoffee Annualは、作付面積、生産量、輸出先に加え、豪雨、病虫害、樹齢、融資、労働力といった生産条件を記録しています。数値だけでなく、供給変化の背景を確認できる点が特徴です。
FASのGlobal Market Analysisは、品目別の『World Markets and Trade』を発行しています。コーヒー版は、世界と主要国・地域の生産、アラビカとロブスタの内訳、輸出入、国内消費、期末在庫を、1袋60キログラムの共通単位でまとめます。世界市場の方向を把握する基礎資料ですが、最新年度の値は予測であり、前年度も改訂されることがあります。確定した収穫量や通関実績だけを並べた統計ではありません。
コーヒー統計を読む際の注意
コーヒーのマーケティング年度は世界で一律ではありません。FASの集計では、生産国の開始月が国により10月、4月、7月などに分かれ、非生産国は10月開始です。ブラジルの年度と米国やEUの消費年度は同じ暦期間をそのまま比較しているわけではないため、世界生産と消費の差を直ちに同時期の余剰や不足とみなすことはできません。期末在庫の増減も分けて確認する必要があります。
公表値は、天候、開花と結実、作付面積、投入財、価格、貿易条件などについて公表時点で得られた情報を反映します。最新版では過去年度の国別値が修正される場合もあります。報道や市場分析で利用する際は、発行月、対象年度、単位、予測・推定・実績の区別を保ち、元の表と注記に戻って確認することが重要です。

